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11月
29th

どちらでもなかった。

| カテゴリ: 衝撃

俺(洋一 通称洋ちゃん)25歳リーマンだ。

彼女(真理子)同い年の派遣社員。

俺と真理子は大学時代からの付き合いで、4年ほどそろそろ結婚しようかなと本気で考えていた仲で、2人で貯金してある程度貯まったらするつもりだった。

去年の10月頃のことだ、俺は真理子から話があるからと、仕事中に電話がかかってきた。

俺も仕事が忙しいので、週末以外ほとんど会えず、平日に電話がかかってくること自体結構珍しい。

その日は定時に仕事を上がって、真理子と約束したファミレスへと向かった。

取り合えず先に飯を食べてからということで、飯を食ってる時はいたって普通で、俺は何の話なんやろかと、大して深刻に考えてはいなかった。

しばらく普通に話していたが俺も気になったので、思い切って真理子に何の話か聞いてみた。

真理子は「子供できたみたい…ちょっと失敗しちゃったね」と微笑みながら俺に話した。

正直まだ結婚するには貯金が足りないかなと思ってたが、出来たもんはしょうがないだろ〜と開き直り、

「んじゃおなか大きくなる前に、結婚しないといかんな〜」

とか、軽く考えていたんだね。

俺としては今の時点で新居構えるのが精一杯だと思ってたから、彼女には申し訳ないけど、結婚式は生まれてからになるかもとか考えてた。

この時真理子が言うには2ヶ月だそうだ。

基本的に安全日にしか生はやってないけど、中出しはしていない、それでも出来るものなのかと思ってた。

俺も突然の事だったので、何の心の準備もできてなかったんだが、相手の親への挨拶とか考えると、出来ちゃった婚ってのはやっぱ恥ずかしいよね。

 

その2、3日後、知らない電話番号から電話がかかってきた。

電話の主は男だった。

男はいきなり、

「真理子さんの子供は僕の子供です。真理子さんと別れて下さい」

とそう言いました。

いきなり意味不明なんのこっちゃという感じで、

「いきなりなんですか? ちゃんと順序だてて話してもらわんと意味分からんですよ」

とちょっとびっくりして言うと、男はちょっと怒り気味で、

 

「僕は真理子さんのことが好きなんだ、お腹の子はあなたの子じゃない。真理子さんのお腹にいる子供は間違いなく僕の子供です。だからお願いします別れて下さい」

 

ようやく事情が飲み込めてきた、俺も負けじと聞き返した。

「という事は、あんたには心当たりがあるってことなんだよね」

って言ったんだが、

「あんたにあんたって言われる筋合いは無い」

とか言われてちょっとムカッときた。

「真理子に聞かんとはっきりしたこと判らんやん、というか、名前も名乗らんといきなり非難する奴とは話しにならんな」

実際この時かなりむかついてた。

彼は「坂田」と名乗った。

「ふ〜ん、で真理子とはいつからなんよ? 俺がおるの知ってるんやんな?」

彼が言うには夏休み頃、合コンで知り合ったらしい(彼は大学生)。

それから付き合い始めて、初めて関係持った後に彼氏がいるという事を知ったらしい、

「必ず大事にするから、俺と別れてくれ」

と何回も話したそうだ。

でも真理子は

「俺とは別れられない。坂田君には悪いことしてる。私みたいな女忘れて」

と言ってた様だが、彼が会いたいというと都合つく時は会っていたということらしい。

俺も真理子が嘘ついてるのか、彼が嘘ついてるのか迷い始めていた。

 

「真理子は俺の子供だって言ってるけど? じゃ真理子が俺に嘘ついてるってこと?」

「真理子さんがなんであなたにそんなこと言ったのか分からない。でも僕には『あなたの子供だと思う』と言いました。僕はまだ学生だけど、今すぐにでも働いて真理子さんを支える覚悟は出来ています」

「君が真剣なのは分かるけど、取り合えず真理子に話聞いてみないことには俺も何にも言えんよ。」

彼も興奮気味だが俺はかなり混乱してた。

取り合えず電話切って煙草吸いながらしばらく考えてた。

取り合えず真理子と話しをしないことには、解決しないなと思って、即電話して直接会って話すことにした。

真理子の家へ俺がついた頃、もう夜11時ぐらいだったと思う。

次の日も仕事だけど、どうせ寝れないだろう。

真理子の部屋に上がって取り合えずコーヒー飲んで落ち着いた頃、さっきの電話の内容を真理子に話した。

真理子は彼に付きまとわれて困ってると俺に話した。

ただ長年の付き合いから、真理子の態度がおかしいのはなんとなく分かる。

俺は「じゃ彼を呼んで、もう付きまとうのは止めてもらうように、俺から話するわ」

というと

「私が何とかするから心配しないで」

と俺を止めようとした。

完全に俺は疑いモードだ。

「妊婦なんだから無理するなよ、俺が話しつけてやるから」

なんだか真理子はあせってるように見えた。

「真理子・・・俺と彼が話するのが嫌なのか? 何か疚しい事がある訳じゃないんだろ? だったら俺が直接話してやるよ」

俺は真理子が止めるのも聞かず、さっきの電話番号に電話して

「真理子の家までこれないか」

と聞いた。

彼は自分も話したいことがあると言うことなので、近くまで来たら連絡すると言い電話を切った。

 

俺は不信感でいっぱいだった。

黙ってる真理子を見ながら、

「・・・・な〜ちょっと携帯見せてよ」

と言ったが、真理子は黙ったまま携帯を握り締めていたが、俺は突然立ち上がり真理子の手から携帯を取り上げると、そのまま真理子の部屋を出て行った。

すぐさま追いかけてきたが振り払い、携帯メールを覗くと彼と思しき人物とのメールが大量に出てきた。

むしろ俺より多いぐらいだ。

俺から携帯を取り上げようとする真理子を尻目に外に出て、車の中に入り鍵を閉めた。

車のガラスを叩きながら喚いてるが、俺にはそんなことよりメールの中身が気になった。

「昨日は有り難う」

とか

「好きになったかも?」

とか、子供のことも書いてあった。

彼の言う通り彼にも『彼の子供だと思う』と書いてやがった。

 

怒りを通りこしておぞましささえ感じたよ。

こいつ何なんだ?

悪魔か?

なんで俺と彼と両方にあなたの子供だよとか送ってんだよ。

意味わかんね〜というか、本当にどっちの子供なんだ?

取り合えずそれが分からんことにはどうにも出来ない。

真理子に聞くしかないが、本当の事を言うかどうか、それ自体怪しい。

畜生なんなんだよ!

どうすりゃいいんだよ!

取り合えず真理子と話すために車を降りて真理子に電話を返してこう言った。

「お前・・・・何なんだよ! 浮気してんじゃないか! お前最悪じゃね〜か! いったいどっちの子供なんだよ、はっきりしろよ!」

俺がそういうと即答で

「間違いなく洋ちゃんの子供だよ・・・それだけは信じて」

「信じれる訳無いだろ! お前メールで彼にも同じ事いってるやん! 俺にどうやって信じろと? 確実に俺の子供だという証拠があるのかよ? 俺は安全日でも中出しはしてないぞ。彼の時はどうなんだよ? 中で出したのか?」

「それは・・・・でも信じて・・」

真理子はそう言ったが

「それはって・・・中出しかよ・・・

」「違うよ中には出してない、洋ちゃんお願い信じて・・・」

信用なんて出来る訳ない。

いらいらして煙草を吸いながら考えてたが、全然いい方法なんて思いつかない。

しばらくの沈黙の後真理子の携帯が鳴った。

彼からだと思う、しかし真理子は取ろうとしない。

俺はまた携帯を無理やり奪って電話に出た。

彼はすぐそばの公園にいるらしい。

俺は真理子を無理やり引っ張って公園に行った。

 

公園で彼らしき人を見つけた時、真理子が逃げようとしたが、俺は離さなかった。

彼が近づいてきて少し頭を下げた。

俺も同じように少し頭を下げ

「坂田さんですか?」

と聞いたら

「そうです」と言った。

俺は彼に前置きなしで

「真理子と生でやったの? え〜っとつまり中に出したの?」

と言いにくかったがとりあえず聞いた。

彼は「それはしてません、真理子さんが安全日だと言った日に、生ではやりました・・・すいません」

普通ならこんな話しないだろうけど、子供が出来てしまった以上、誰の子供なのかってのは避けられない話だ。

「真理子・・・どっちも中には出してないって、両方安全日だって、どういうことなんだよ? いったいどっちの子供なんだ? お前の気持ちなんかどうでもいいんだよ! 出来ちゃったんだ。どっちかはっきりしないとどうにも出来ないだろ! というか俺の子供なら悪いけど堕ろしてくれ、俺はお前とは結婚出来ない」

真理子はまた泣き出した、両方に安全日だと嘘ついたのか

「泣いて済む問題かよ・・」

俺がそういうと彼が

「真理子さん僕の子供だと言って下さい! 僕が必ず責任取りますから」

もうかなり怒り心頭の俺はその言葉を聞いて、

「まだ働いたこともない学生がえらそうなこと言うんじゃね〜! そんな簡単に大学辞めて、まともな就職口が見つかるとでも思ってんのか? 世の中舐めるな!」

続けて

「真理子どっちにしろ子供堕ろせ、お前こんな状態で生まれる子供が、幸せになると思ってんのか? それとも最悪自分ひとりで育てる覚悟でもあるのかよ? な〜真理子。今の時点でどっちの子供なのかはっきり分からないのか?」

真理子はまだ泣いていたが堪えてこう言った。

 

「今すぐには調べられない、胎児が落ち着くまではそういう検査は出来ないの」

それを聞いて彼が

「僕はどっちの子供でも構いません、僕と一緒に来てくれませんか?」

真理子はまだ泣きながら

「坂田君ご免・・・でも私、洋ちゃんと結婚したい・・・」

「だから! 俺はお前とは結婚しないって言ってるだろうが!」

ちょっとトーンを落として、

「真理子、今の状態で俺と一緒になっても、彼と一緒になっても上手くいかないぞ。冷静に考えろ、父親が誰か分からない状態で子供産んでいいのか?」

「洋ちゃんの子供だよ・・・私分かるもの」(・・・・こいつ頭おかしいんじゃないか?)

いい加減話にならない状態と、このままだと誰が父親か分からないまま子供が生まれてしまう事に俺もかなり焦っていた。

俺は勤めて冷静に

「な〜真理子、子供ってそんな簡単なもんじゃないだろ? 俺だって自分の子供だってはっきりすれば、それなりの覚悟もあったさ。でもお前がその俺の気持ちをぶち壊したんだ・・・親御さんにも全部話して、今後のこと真面目に考えようぜ」

真理子は泣いたまま黙ってた。

「じゃまた明日話し合おう」

と俺が言うと真理子も頷いていた。

彼にも連絡することを約束し、その日は真理子を家に送って俺も帰った。

 

普通だったら浮気された修羅場になった、別れたで済む問題だが、さすがに

「誰の子か分からないけど子供が出来た」

ってのはそんな簡単に幕引きは出来ない。

最終的に産む判断は母親がする訳だし。

怒っても宥めても真理子は生むことに拘ってる。

しかも俺の子供だって信じてる。

俺も無責任に放置できないし、やはり父親が誰か分からないで生まれてくる子供が可愛そうだ。

俺も真面目に俺の子供なら最悪認知して養育費も払わんと駄目だし。

目の前真っ暗。

結婚するつもりだったから、中途半端な避妊してたことをこれほど後悔したことはない。

 

次の日会社を休んで、相手の親御さん含めてみんなで話し合った。

相手の学生は今までどおり、真理子と一緒になりたいを繰り返す。

真理子は俺と結婚したいを繰り返す。

俺はそれは出来ないと繰り返す。

何回話しても話はつかない。

怒鳴りあいもあったし坂田君と殴り合いになりそうな時もあった。

泣いて俺に結婚してと迫る真理子に、なんともいえない複雑な感情だった。

発覚してからもう3週間ぐらい話し合ってたが、堕ろすにしても、どんどん時間が無くなって来る。

俺もかなり精神的に追い詰められた。

とうとう会社で倒れちまった。

心配した真理子や親が見舞いに来てくれた。

真理子は

「ご免ね。私のせいだね・・」

と言っていたが、もうどうでもよくなってきた。(もう疲れた・・いっそ死のうかな・・・)とか考えてた。

真理子が帰った後、会社の先輩や俺の友達も会社帰りによってくれた。

2、3日後退院したが、上司からはもう2、3日休めと言われてたので家でゆっくりしてた。

退院してから2日後のことだ。

真理子と両親が俺のうちに来た。

真理子は子供を堕ろすと決めたそうだ。

真理子もかなり憔悴していた。

ご両親は俺に謝罪し結婚も取りやめる。

俺とは一切関わりを持たないことを約束してくれた。

最後に真理子が俺と話をしたいと言ったので了承した。

真理子はひたすら謝った、もう一度やり直せないか?

子供は堕ろすから、もう一度信じて欲しいと何回も言った。

俺は無言だったが最後に

「お前の顔なんて見たくも無い! さっさと出て行け」

とだけ。

真理子は泣いて出て行った。

 

子供堕ろした日、真理子のご両親だけが、俺に報告に来た。

俺は「判りました。今までご迷惑掛けて申し訳ございませんでした。私も安易に考えていた部分がありました。今回のことはもうこれで忘れましょう」

ご両親もひたすら陳謝し帰っていった。

俺がなんでこれを書こうと思ったかというと、真理子の友人が俺に話したいことがあると、俺の友人経由で頼んできたからだ。

彼女いわく、

 

「私はもう真理子とはあの件以来会ってない。私も『そんな状態で産んでもいいこと無いよ』って言ったんだけど聞いてくれなくて・・・それから絶縁状態。終わったことだし私も言っていいものか悩むけど・・・真理子の子供多分あなたと坂田君のどっちの子でもないと思うよ。真理子その時別の男にやられたらしいから、男の方から聞いたんだけど、多分間違いないよ、中でやっちゃったらしいから。私もそれ聞いて正直にみんなに話した方がいいと言ったんだけど、聞いてもらえなくて・・」

 

唖然として俺も

「・・・・そっか、何かすまないね・・・」

というのが精一杯だったけど。

感じていた罪悪感からは、少し解放された気分だった。

俺の話はこれで終わりだけど、こういう女が現実にいるんだ。

 

みんな気をつけろよ。

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